公開日:2022/10/04 最終更新日:2022/10/24
成人式といえば、女性は振袖を着るものだとされていますが、そもそもなぜ振袖を着るのかという理由をご存じでしょうか。そんなこと考えたこともないという方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、成人式で振袖を着る意味について解説します。また、振袖の色や柄によってもそれぞれ意味があるので、あわせて紹介します。
振袖は、袖が長いことが特徴です。実は昔は子どもが着るものでした。大人よりも体温が高い子どもは、熱を逃がすために脇がゆったりと開いたものを着たほうがよいとされていたためです。袖が長いと家事や仕事がしづらいため、大人の袖は短いものでした。
振袖は、子どもであれば男女かかわらず着ており、大人と同じ短い袖にするタイミングは、結婚しているかどうかにかかわらず、男子は17歳の春、女子は19歳の秋と決まっていました。このタイミングで、袖を短くして、脇をふさいで作りを変えていたのです。
振袖は袖の長さによって3種類の異なる呼び名があります。成人式ではどの種類を着ても問題ありません。自分の好みのものを自由に選びましょう。
小振袖の袖は振袖で一番短く、60cmから85cmほどです。膝くらいまでの丈で、袖が短いため比較的動きやすいです。カジュアルな印象を与え、普段着としてや、ちょっとしたお出かけ、パーティなどで着用できます。袴と合わせても着られるため、成人式だけでなく、卒業式でも使うことが可能です。
中振袖の袖の長さは約100cmで、だいたい足首くらいまでの丈があります。小振袖よりも格式が高く、結婚式にゲストとして参加するときなど、お祝いの席にも向いています。
大振袖の袖の長さは114cmほどです。くるぶしくらいまでの丈です。もっとも格式が高く、結婚式で花嫁衣装としても着用されます。最近では、成人式で着る人も増えています。
成人式に出席するときに振袖を着る意味を2つお伝えします。
まず、振袖が、未婚女性が着る衣装の中でもっとも格式が高い第一礼装として定着している点があります。成人式は、成人になったことを祝うための儀式です。一生に一度の大切な節目の日に着ることで、大人の自覚をもつことにもつながるでしょう。
振袖は子どもの着物だったところから、徐々に厄払いや、お清めの意味をもつようになりました。昔から「振る」という動作には厄を払う力があるとされ、袖の長い振袖を着ることによって、病気や厄にとりつかれることなく幸せな人生を歩んでほしいという願いも込められるようになったのです。
振袖にはさまざまな色や柄があり、色や柄によって意味や印象が変わってきます。意味を知っておくと、振袖選びの参考にもなるでしょう。
赤は人気が高く、定番の色のひとつです。華やかで力強いイメージがあります。太陽や火の色であり、神聖な色とされてきました。
赤色の振り袖には厄を払う意味や、おめでたい席で使われることから「縁起がよい」「めでたい」といった意味もあります。そのため、成人式というハレの日に着用するのに最適な色といえるでしょう。
ピンクはかわいらしく、女性らしい色です。昔から、恋にまつわる色はピンクが使用されていました。ピンクの振袖を身につけると、優しくやわらかい印象を与えられるでしょう。
緑は自然の色をイメージする方が多いでしょう。草木の色であることから「成長する命」という意味や、春から夏にかけてのイメージから「緩やかな変化」「若々しさ」といった意味ももっています。
青色は冷静さや落ち着きを表します。青い振袖を着ると、知的なイメージを与えるでしょう。大人っぽい雰囲気にしたい方にもおすすめです。
紫は格式の高い色とされ、現在でも皇室のシンボルカラーになっていたり、上位の僧が身につける色だったりします。「高貴」という意味があり、上品な色合いです。優雅で品のある雰囲気になるでしょう。
白は純粋無垢を表し、汚れがない清楚な印象の色です。新しい将来に向かって白紙の状態から歩み出すという意味もあり、成人式におすすめの色です。
椿はさまざまな和物に使用される、ポピュラーな柄です。「永遠の美」や「気取らない美しさ」といった意味をもち、レトロな雰囲気の着物が好きな方にはおすすめの柄です。
牡丹は、古典的で縁起のよい柄とされ「高貴」や「幸福」を意味します。振袖に牡丹の柄が入っていると、大きく華やかに描かれていることが多いです。
鶴には長寿の意味があり、縁起がよい象徴とされています。
御所車は貴族が乗っていた牛車のことで、華やかさや富の象徴とされています。
市松模様には繁栄の意味があります。
本記事では、振袖を着る理由やさまざまな意味について解説しました。パッと見の好みや、自分に似合うかどうかという基準で振袖を決めてもよいですが、袖の長さや色・柄の意味などについての知識があると、振袖選びがいっそう楽しくなるでしょう。人生のひとつの節目でもある、一生に一度のイベントを、振袖を選ぶところから、ぜひ楽しんでください。